「秋が来た~!」と感じる金木犀(きんもくせい)の香り。
窓を開けっ放しにしていると、金木犀の香りがどこからともなくふわっと漂ってきて、幸せな気分に包まれますよね。
でも、金木犀の香りを楽しめる期間は、ほんのひととき。
あっという間に終わってしまうのが、寂しいですよね。
でも、金木犀の花で「チンキ」や「浸出油(インフューズドオイル)」を作ると、一年中、金木犀の香りを楽しめるってご存知ですか?
作り方はとっても簡単。
特別な道具もいらないし、手間も少なめなので、はじめての方にもぴったりです。
今回は、金木犀チンキと浸出油の違いやそれぞれの作り方、香りを長く楽しむためのコツまで、分かりやすくご紹介します。
金木犀チンキと浸出油の違い
チンキは、ハーブをアルコールに漬け込んで作る「アルコール抽出液」。
浸出油は、植物油にハーブをじっくり浸けた「ハーブオイル(漬け込みオイル)」のことです。
どちらも金木犀の香りを楽しめる素敵な方法ですが、使う素材や仕上がりに違いがあります。
それぞれの特長をを分かりやすく表にしてみました。
チンキ(ティンクチャー) | 浸出油(インフューズドオイル) | |
---|---|---|
抽出に使うもの | アルコール (無水エタノールやお酒) | 植物油 (ホホバオイル、オリーブオイルなど) |
抽出できる成分 | 水に溶ける成分+油に溶ける成分 | 油に溶ける成分中心 |
向いている使い方 | アロマスプレー、香りづけなど | スキンケア、トリートメント(マッサージ)、香油など |
香りの印象 | すっきり軽やか | やさしくまろやか |

「何を作ろうかな〜」とワクワクしながら、好みに合わせて楽しんでくださいね。
金木犀チンキ・浸出油の作り方は、3ステップ!
- 花を摘む
- 瓶に花とアルコールまたは植物油(キャリアオイル)を入れる
- 一日一回瓶を振る
とっても簡単に作れるので、金木犀の香りが好きな方は、ぜひ一度作ってみてくださいね。
今回は、それぞれのポイントを交えながら、金木犀の花を使った「チンキ」と「浸出油」の作り方をお伝えします。
まずは金木犀の花摘みと下準備から


香りを長く楽しむために、大切なステップです。
ここを丁寧に行うとことで、香りの仕上がりがぐんと良くなり、香りも長持ちします。
花摘みは少し時間がかかりますが、作業中も金木犀の香りに包まれるので、幸せな気分に浸りながら進められますよ。
花を漬ける前の準備
摘む量はお好みで大丈夫。
または、漬けたい瓶の大きさに合わせて調整しましょう。
細かく考えずに摘んでくださいね。
【切り枝を手に入れた場合】
花を摘む前にまず枝ごと軽く洗って自然乾燥するのがおすすめ。
私は、花瓶などで飾りながら乾かして、香りも楽しんでいます。
できるだけ綺麗な花だけを使うのがポイント!
葉や枝などが混ざると香りにクセが出ることもあるので、丁寧に取り除いてくださいね。
【切り枝の場合】
花摘み後に水気が残っていたら、しっかりふき取ってください。



私は、枝についた状態で軽く洗い、飾りながら乾かすのがお気に入り。
花を摘み取った後に洗うと、しおれたり香りが飛びやすくなる気がするので。
色々試しながら自分に合った方法を見つけてくださいね。
香りを長く楽しむためのポイント
花の摘み時は、金木犀の香りが強くなる「五分~八分咲き」の頃。
花をそっと触って、ぽろっと落ち始める頃が、摘みやすいです。
落ちた花ではなく、枝に付いている花を摘んでくださいね。
見た目は満開の時が可愛いのですが、満開に近づくにつれて、香りが弱くなっていきます。
金木犀の香りをしっかりうつしたいので、早めの摘み取りがおすすめです。
花摘みの注意点


金木犀の花は小さくて可愛いですが、ときどき「茶色い粉」が見えることがあります。
その茶色い粉は、虫のフンや食べかすのことが多いので、その部分は避けてください。
しかも、その近くには…高確率で小さな青虫が潜んでいることもあります。



実は私、青虫を見つけるのが得意で(笑)
花摘み中、「これ大丈夫かな?」「このくらいいいかな?」と思う花は、大体アウトです。
「もったいないから…」と悩むより、潔く避けて、綺麗な花だけを集めましょう!
花を準備できない方は
- 花屋で切り花として入荷している場合があります。
まずは近所のお花屋さんに問い合わせてみてください。 - JAや農産物直売所などでも見かけることがあります。
こちらの方が新鮮なことが多く、意外な穴場かもしれません。
金木犀チンキ(アルコール漬け)の作り方
下準備が終わったら、いよいよ金木犀のチンキ作りスタートです!
チンキとは?
ハーブなどの植物をアルコールに漬けて、香りや植物がもつ成分をじっくり引き出した抽出液のことです。
別名、ティンクチャ―とも呼ばれています。
ヨーロッパでは、昔から自然の知恵として暮らしに取り入れられてきた方法のひとつです。
ハーブティーは、お湯や水に溶けやすい成分を抽出する方法ですが、チンキはアルコールを使うことで、水に溶けにくい成分までしっかり引き出すことができます
そのため、香りがより深く、アロマスプレーや香水にした時に、ふわっと澄んだ香りが広がります。
材料
- 金木犀の花
- アルコール(ウォッカ・ホワイトリカーなどのお酒 or 無水エタノール)
- 密閉容器(瓶など)
- アルミホイル(透明な瓶を利用する場合)
分量はざっくりでOKです!
花が液体にしっかり浸っていれば大丈夫なので、「このくらいかな?」という感覚で気軽に作ってみてください。
アルコール選びのポイント
- 無水エタノール:香りをスッキリ抽出したいときに。アロマスプレーやクラフト向き。
- お酒(ウォッカなど): 食品として使いたいときや、ティーやカクテルの香りづけなどに。
作り方
アルコールで拭く or 熱湯で煮沸消毒しておきましょう。
花がしっかり浸かるように。
多くても花の2倍量までがおすすめ。
遮光瓶でない場合は、アルミホイルで瓶を包んで光を防ぎましょう。
毎日一回、やさしく瓶を振ってあげてください。
成分がよく抽出されます。
保存期間
保存状態によりますが、1年以内を目安に使い切るのがおすすめです。
保存料を使っていないため、できるだけ早めに使い切ると安心ですよ。
香水作りには、2か月くらいしっかり寝かせるのがおすすめ。
でも、「2か月も待てないよ~!」というときは、1か月くらい経ったところで一度香りを試してみてください。
香りが気に入れば、そこから使い始めても大丈夫です。
金木犀の浸出油(インフューズドオイル)の作り方


次に、金木犀の浸出油(インフューズドオイル)の作り方です。
チンキの作り方とほぼ同じですので、簡単ですよ!
浸出油とは?
浸出油(インフューズドオイル)は、植物を植物油に浸けて作る、香りのうつったオイルのことです。
別名、インフューズドオイルとも呼ばれています。。
時間をかけてじっくり香りや成分を抽出していくこの方法は、まるで自然のリズムと一緒に「オイルを育てる」よう。
肌にやさしく、スキンケアやトリートメントオイル(マッサージ用オイル)にも使えるのが嬉しいポイントです。
材料
- 金木犀の花
- 植物油(ホホバオイル、スイートアーモンド、オリーブオイルなど)
- 密閉容器(瓶など)



今回は、ホホバオイルを使いました!
植物油はお好みのもので良いのですが、日光に当てることを考えると、酸化しにくいオイルを選ぶと、より安心です。
作り方
アルコールで拭く or 熱湯で煮沸消毒しておきましょう。
花がしっかり浸るように。
多くても花の2倍量までがおすすめ。
室内の窓辺など、日差しが優しく入る場所がおすすめ。
太陽の熱でじんわりと香りが抽出されていきます。
- 毎日一回、やさしく瓶を振ってあげてください。
成分がよく抽出されます。 - 日差しの強い夏は、2週間で十分に有効成分が抽出されます。
日差しの弱い冬は、4週間くらいかけてゆっくり抽出すると良いです。
気候に応じて調整してくださいね。



ヨーロッパでは、古くからの自然な方法として、新月から満月までの28日間、太陽の光と月の光にあてて作るという伝統的なやり方もあるそう。
太陽と月の両方からエネルギーを受け取って作るんですね!
自然のリズムに合わせてオイルを育てていくような感覚ですね。
使い終わった花の活用法
ほんのり香りが残る金木犀は、だしパックなどに入れて、入浴剤として活用するのがおすすめ。
湯船に入れると、金木犀の甘くやさしい香りがふわっと広がって、贅沢なバスタイムを楽しめます。
保存期間
保存状態にもよりますが、3か月以内を目安に使い切るのがおすすめです。
植物を浸け込んだオイルは、何も加えていないオイルよりも酸化しやすいため、必ず冷暗所、または冷蔵庫で保管してくださいね。
短い期間しか咲かない金木犀の花。
けれど、こうして香りを移しておくことで、季節が過ぎたあとも、香りを楽しめるのはうれしいですね。
チンキも浸出油も、作り方はとっても簡単!
気になった方は、ぜひ気軽に試してみてくださいね。
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