メキシコの旅で、私が心に強く残った出来事があります。
それは、古代遺跡「テオティワカン」での体験。
テオティワカン遺跡を上空から見るため、気球に乗って早朝の風景を楽しんでいたのですが、風の影響で予定していた着地地点には降りられず、気球はサボテン畑のど真ん中に着陸しました。
上空からサボテン畑を見下ろし、行きかう車を見て「何をしているのだろう?」と気になっていました。
地上に降りてみると、なんと地元の人たちがサボテンを収穫していたのです。
思わず「何を収穫してるの?」と、気球で一緒だったメキシコ人たちに尋ねると、驚いたような顔でこう教えてくれました。
「これはトゥナ(TUNA)っていうんだよ、食べられるよ」と。
サボテンを食べてみた!地元の人との心温まる交流

「え?食べれるの?食べたことない」と私が言うと、彼らははさらに驚き、すぐにサボテンの実を1つ取り、ナイフで皮をむいて、「食べてみて!」と勧めてくれたんです。
勝手に獲っていいのかな???
おそるおそる口にしてみると、アロエのような、瓜のような、甘くてやさしい味が広がりました。
水分たっぷりで、この乾燥した地域にぴったりなんだなと感じました。
さらに驚いたのは、気球で一緒だったメキシコ人たちが、なんと、ナイフも使わず、手でくるくるっと皮をむいて見せてくれたこと。
その手慣れた様子に、私は思わず「えっ、それだけでむけちゃうの!?」とびっくりでした。
サボテンとメキシコの食文化

地元の人にとって、サボテンは特別な存在ではなく、当たり前のように食卓にのぼる身近な食材です。
スーパーや市場ではサボテンが普通に並び、サラダなどの具材としても親しまれています。
気球で一緒になったメキシコ人の方が、こんなことを教えてくれました。
「旅行中だと、スーパーで買っても食べきれないでしょ?レストランに行ったら、たいていサラダに入ってるから、そこで食べてみるのがいいよ」と。

メキシコでサラダを食べるときは、ぜひ「サボテン入り」を頼んでみてくださいね!
さっぱりしていて、やさしい味わいがクセになります♪
そして忘れてはいけないのが、「アガベ」というサボテンの仲間から作られるお酒。
テキーラやメスカルは、日本でもおなじみですよね。
そして、アガベシロップも注目されています。
一杯のお酒や一皿の料理のなかに、古代から続く祈りや感謝のスピリットが息づいていることを、旅の中で深く感じました。
古代から続く「生命力」の象徴としてのサボテン
サボテンは、メキシコの乾燥した大地に根を張り、厳しい環境で生き抜く力強い植物です。
この「生命力」は、古代アステカ文明でも重視されており、浄化や薬用、さらには宗教的な儀式に使われていました。
サボテンは再生、守護、強さの象徴であり、古代の人々はその特性を尊び、日常生活に取り入れていました。
現代においても、サボテンはスピリチュアルな意味を持つ植物として、生命力や再生の象徴とされ、私たちに自然との共生を教えてくれます。


テオティワカンのサボテン畑での出来事は、現地の人たちとの温かな交流を通して、メキシコの深い文化を感じることができました。
サボテンを食べ、現地の人々と笑顔を交わすことで、ただの観光では得られない、心に残る体験をすることができました。
植物や食べ物を通して、その土地の風土や人々の暮らしに触れることができるのは、旅の醍醐味の一つですね!
テオティワカンでの一日は、太陽のパワーと大地のエネルギーを静かに感じる、かけがえのないひとときでした。


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